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船場センタービルを先輩がご案内。 教えて、センバイ。 vol.2 ~ 編集者・藤本和剛 篇 ~

2019.11.29

藤本和剛(ふじもとかずたか)

大阪、そして船場の魅力を知る人生の先輩に船場センタービルの魅力を紹介していただく連載は早くも第2弾。今回は『MeetsRegional』で御馴染みの京阪神エルマガジン社から編集者の藤本和剛氏が登場。「船場の地と縁がある」と、語る藤本さんに船場センタービルについてを伺ってまいりました!

藤本和剛(ふじもとかずたか)

編集者、大阪生まれ。大阪大学卒業後、京阪神エルマガジン社に入社。月刊誌『MeetsReginal』の副編集長、ムック・書籍編集室などを経て、現在の制作室に。自他共に認める大阪ラバーで、食や建築、ファッションなど大阪のカルチャーに明るい。

祖父以来、船場で商売をしてきた家系。縁のある編集者から見た、船場。

祖父以来、船場で商売をしてきた家系。縁のある編集者から見た、船場。

ーーこの連載、人生の先輩に船場センタービルの魅力を教えていただくというものでして。今回はビル内を回りながらお話できればと思っておりまして……。

わかりました。今は、船場センタービルってあまり来る機会はないんですが、昔は取材で来ることも何度かありまして。あと、実は僕のルーツが船場の方にあるので、喋れる範囲で協力させていただきます。

ーーありがとうございます!ちなみにルーツというと?

祖父が、戦後に道修町で小さな製薬会社をはじめたんです。父のあと、今は兄が継いでるんですけどね。祖父がオシャレな人だったんで子どもの頃から旧い店に連れて行ってもらっていたんです。今日も丁度、神農さんと親しまれている医薬の神様を祀る[少彦名神社]のお祭りを見てきたところで。

ーーでは、割とちっちゃい頃からこの辺に来ていたんですね。

そう、原風景というか、親しみのある場所なんですよね。それから船場センタービルに行くようになったのは社会人になりたての頃。大学を卒業して入社したエルマガジン社がここから歩いて5分くらいの博労町にあって、船場センタービルが「逃れの地」だったんですよ。今は無くなってしまった[純喫茶 三輪]にはよく行きましたね

ーー船場=[純喫茶 三輪]っていうのは、よく聞きます。

大阪駅前ビルの[マヅラ]もそうですけど、[純喫茶 三輪]も高度経済成長期から万博、それ以降に続く、昭和の大阪を見つめてきた純喫茶の代表選手ですよね。実は、地元の天王寺にも全く同じスタイルの[田園]っていう喫茶店があって。そこにもよく通っていたんですが、何故か同じタイミングでどちらも閉店して……。個人的には大阪のミステリーですよ。

ーー(笑)

[自由軒]や[洋食ふくもと]、[南海飯店]にも通ってましたね。あと、10年以上前のMeets Regionalで船場を中心としたオフィス街の特集をしたことがあって。その時に船場センタービルと半径500mぐらいのエリアのページを作ったこともありました。当時編集部にいた溝口さんって先輩が、「船場界隈って旧い店も多いし、デッドストックやヴィンテージのアイテムがあったりするんちゃう?」って。

『MeetsRegional』201号『オフィス街の冒険』特集内の一部。

『MeetsRegional』201号『オフィス街の冒険』特集内の一部。

ーーまさに、船場をディグった……と。

扱ったのは長堀通・中央大通・堺筋・御堂筋の内側にあるエリアで「買い物パラダイス船場・丼池。サタデー・ヌーン・フィーバー」と題して、船場センタービルの中も取材しています。「船場的デューティーフリー」とか「おかんのアメ村」とか「元ポパイボーイ歓喜!」とか、少し笑えるキャッチをつけてアイテムと、街を掘るという企画だったんですが、なかなか面白かった。実際にヴィンテージのええもんがでてきたりして。それこそ、今も同じくええもんが眠っている店も多いんじゃないかな。

ーー確かに。これからは、お店に入ったら、デッドストックやヴィンテージ探ししてみます!

ぜひ。きっとええもんがディグれるはずです。

50年前、デザインと技術を凝らして作られた最先端のモール。

50年前、デザインと技術を凝らして作られた最先端のモール。

ーー実は、設計された当時のジオラマとか、ビルの資料も用意しておりまして。

ビルが完成したのが、1970年大阪万博のときですよね。ちょうど50年前。当時の技術で、中央大通りと阪神高速の下、そして地下鉄の上にビルを作るっていうのは大胆な発想ですよね。お金はもちろんですが、大阪の中心部の構造を変える一大事業。かなりの力業と挑戦がだったと思います。

ーーちなみに、資料に残っている情報では、当時の金額で300億かかったとされています。

随所のデザインにも力が入っていますよね。ビルのロゴとかもそうですけど、カタログだって気合いが入ってる。なんていうか、当時のデザインの最先端を取り入れている感じ、表紙のデザインとか、写真の配置とか。このあたりからも事業規模や当時の気合いが感じられます。

なんていうか、当時のデザインの最先端を行ってる感じ、表紙のデザインとか、写真の配置とか。

ーーですよね。

「はじめに」の部分に書かれた府知事のメッセージもかなり熱が入ってますね。こういう資料は貴重だから、空き物件の一室に飾ってあったりしたら、僕みたいな歴史好きはかなり喜ぶと思いますよ。

ーーたしかに。僕も初めて資料を見た時はかなり感動しました。価値のあるものですし、見ていて面白いし。

あと、さっきも歩いたんですけど、道路側の歩道部分もいいですよね。あの長大なスペースで蚤の市や街路市的なことができたら週末に人が少ないオフィス街の活性化になるんじゃないでしょうか。光の入るカッコイイ場所だし、雨が凌げてアクセスも良いし。有効活用できれば話題になりそうじゃないですか?

道路側の歩道部分もいいですよね。

ーーたしかに。あそこは良い道ですよね。

トラッドショップに民芸品。見所は随所に。

トラッドショップに民芸品。見所は随所に。

ーーちなみに、船場センタービル内で、気になっているお店ってありますか?

大阪・難波に日本の郷土玩具や民芸を集めた[日本工芸館]という施設がありまして。そこは2018年の5月に立て替えで一旦閉館したんですが、実は売店部分が[日本工芸館 民芸普及部]として船場センタービルに期間限定で出店しているんですよね。

ーー全然知らなかったです。

日本各地で作られている手仕事のやきものはもちろん豊富に揃っているんですが、めちゃくちゃでかい二尺皿があったり……。あと、手作りの郷土玩具が関西ではなかなかお目にかかれないラインアップで。色やかたちが楽しい縁起ものも多いので、行く価値はあると思います。

手作りの郷土玩具が関西ではなかなかお目にかかれないラインアップ

ーーいいですね。洋服や繊維関係はどうですか?

[トラッドハウスフクスミ]ですかね。大阪が誇るクロージングブランド・リングジャケットや、英国の名品を数多く揃える洋品店なんです。ダッフルコートのグローバーオールとか、革製品のグレンロイヤル、スイングトップの王様バラクータ……と、かなり強力な品揃えだと思います。

最近は若い子でもトラッド好きが増えているので見に来る価値は大いにあると思います。

ーートラッド好きなら誰もが知ってるブランドばかりですね。たしかに、良い店だ。

年を重ねた世代はもちろんですが、最近は20代のトラッド好きも増えているので、見に来る価値は大いにあると思います。あと、知り合いのグルマンからの情報で、[重己]さんっていううどん処もおいしいと聞いています。香川で修行した本格派で、かなりハイレベルだと。

ーー知らない情報ばかりです……。

旧天牛堺書店の跡地に[槇尾古書店]という古本屋さんができたり、歴史あるええ店はもちろんですけど、実は新しくておもしろい店も増えつつあるんですよね。これまでは、ミナミとキタを分断する「壁」のように感じることもあったんですが、逆に言えば、ミナミとキタ、それぞれの個性を確立させた存在でもあるように思います。そして昭和の船場の商売人たちの気風や空気感を残しつつ、時代に合わせてアップデートもしていて。だからですかね、ここにしかない不思議な魅力を改めて感じました。建物のハード自体も世界的に希有なものだし、これから万博もある中で、観光客や外国からのゲストも楽しめる施設なんじゃないですかね。

ーーですね。今日は、ありがとうございました!

いかがでしたか?第2回は、編集者の藤本さんと船場センタービルを探索し、船場センタービルの歴史や魅力はもちろん、オススメのお店までご紹介いただきました。掘れば掘るだけええ店が出てくるってのも、800軒が入居するビルゆえのことか……と、今回も感激しきりでございました。第3回の連載では、どんなセンバイがどんな魅力を教えてくれるのやら……!乞うご期待!

取材・文・写真:ロマン

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