お元気でしょうか。おそらく今80歳くらいの貴方は。

忘れたフリをして

MOVIE

船場センタービル50周年記念短編アニメーション
「忘れたフリをして」

船場センタービル50周年記念短編アニメーション「忘れたフリをして」

ある日漫画家・町田洋の元に「開業50周年を迎えた『船場センタービル』を描いて欲しい」との依頼が届いた。 過去に「うつ病」を患っていた経験を持つ現代を生きる漫画家と、大阪のど真ん中で50年間生きてきた、歳をとったおおらかな商業施設『船場センタービル』の4日間のしずかな対話のお話。

CAST・STAFF

コムアイ(水曜日のカンパネラ)

声・歌:コムアイ(水曜日のカンパネラ)

アーティスト。1992年生まれ、神奈川育ち。ホームパーティで勧誘を受け歌い始める。「水曜日のカンパネラ」「YAKUSHIMA TREASURE」のボーカルとして、国内だけでなく世界中のフェスに出演、ツアーを廻る。その土地や人々と呼応して創り上げるライブパフォーマンスは必見。好きな音楽は民族音楽とテクノ。音楽活動の他にも、モデルや役者など様々なジャンルで活躍。

この漫画のなかで、町田さんもほとんど家から出られず辛い時期を過ごされたことが描かれています。そしてその時期を乗り越え、少しずつ外に出始めたころの町田さんの感覚は、奇しくもこの公開時期に、街全体を包んでいる空気とシンクロするように思います。制作の方々とも、このタイミングで観てもらうことにとても意味がある作品だよね、と話していました。ぜひたくさんの方々に観てもらえれば幸いです。

大川原亮

アニメーション・監督:大川原亮

1986年神奈川県横浜市生まれ。2009年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2012年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。「アニマルダンス」(2009)が文化庁メディア芸術祭で奨励賞受賞。「空の卵」(2012)はシュトゥットガルト国際アニメーション映画祭にてロッテライニガープロモーションアワードを受賞。オタワ国際アニメーション映画祭、アヌシー国際アニメーション映画祭等多くの映画祭にノミネート上映。現在はフリーランスのアニメーション監督、イラストレーターとして活動中。

日常の喧騒の中では素通りしてしまう様な場面にふと足を止めると、そこから滲み出てくる暖かさや、もの寂しさが、どこか懐かしい。そんな誰もが体験したことのある様な瞬間を町田洋さんの視点で追体験していく作品です。

私もまるで自分が体験したかのような既視感と、船場センタービルに感じる懐かしさに心が奪われました。

アニメーション化にあたってはなるべく原作の純度を下げずに、漫画から受けとった感情を、自分の感情と重ねて表現しました。

アニメーションでの感情表現。音楽の力、コムアイさんの声の力。すべてが合わさった時に、濃厚なアニメーション体験を提供できると確信しました。

どうぞ楽しんで下さい。

村井智

総合演出・音楽:村井智

広島生まれの音楽家、映像作家、アーティスト。MURAIMURA代表。D&ADイエローペンシルやNYADCゴールドなど海外のデザイン賞を受賞してきた今は亡きクリエイティブチームTYMOTEの音楽映像担当。Youtube Originals「のんたれ」の劇伴&アニメーションパートの演出や、石野卓球「Rapt in fantasy」KREVA「敵がいない国」王舟「Lucky」などの映像の演出/監督作多数。

最初に船場センタービルへ取材するために訪れて、喫茶店で休憩していた時に「うつ病をテーマにしたエッセイを描きたい」と町田さんから言われ、少し面食らった記憶があります。
なぜならその前日までは完全なフィクションとして「無くなったボタンの物語」などのアイデアが出ていたので、きっとフィクションの「いい感じの物語」になるだろうとボンヤリ想像していたからです。
なのでちょっと驚きはしましたが、すぐにCEKAI三上くんとクリエイティブのお二人とも「これはとても意味のあることだ」と話し、町田さんには「是非それでいきましょう」とすぐにお返事をしました。
とはいえ観る人がどう思うだろうか、「うつ病がテーマ」と聞いてびっくりするのではないだろうか、舞台となるビルのマイナスイメージになってしまうんじゃないかと色々逡巡もしました。
しかし冷静に考えると、現代では「5人に1人が一生のうちになんらかの精神疾患を経験する」という話もありますし、この「うつ病」で言うと「生涯に約15人に1人」は経験をするのだとかで、実は日常的に「うつ病」の近くで僕たちは生活しています。僕の家族にも、友人にも経験した人がいます。そして僕自身も過去に軽度の「うつ病」だと診断されたことがあります。逡巡などする必要は何もなく極々普通のことなのです。

そんな普通の病を過度に特別扱いして腫れ物扱いする世界は、きっと「うつ病」を患っている人たちをもっと生き辛くしてしまうことでしょう。しかしそれと対照的に普通の営みや日常が実は「特別」であると認識すること/認識出来る世界であることが、多くの人が幸せに生きるための一つの真実であると、僕自身この作品をアニメーション化していく中で、そしてこの時世の中で改めて腹に落ちました。町田さん、本当に素敵なエッセイをありがとうございます。「普通の日常」というものの尊さが全世界的に再確認されている今だからこそ、僕たちにとって「特別」なモノとは何か、残っていくモノや残したいモノは何か、変わっていかねばならいことは何か、すごいスピードで変わり続けるこの日常の中で今一度立ち止まってゆっくり考えていけたらと思います。この物語と、そして50年を生きてきたこのビルと一緒に。

アニメーションスタジオ:CALF制作:CEKAI協力:トーチweb特別協力:船場センタービル

ORIGINAL COMIC

町田洋

原作者:町田洋

2013年、全編描き下ろしの単行本『惑星9の休日』(祥伝社)でデビュー。短編『夏休みの町』で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。2014年、上記受賞作を収録した短編集『夜とコンクリート』(祥伝社)を刊行。2018年9月より、初の連載『砂の都』をモーニングツー(講談社)にて開始。ただいま第一話をモーニングの公式サイトにて無料公開中。

「船場センタービルの漫画」

「船場センタービルの漫画」

LOCATION

船場センタービル

船場センタービル

5050DEEP 広めて、DEEPな船場をディグってみよう。

PAGE TOP