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リメンバー、船場。 vol.5 ~ ワールドトレーディング 篇 ~

2020.02.17

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イタリアやスペイン、ドイツなどの伝統工芸品を扱う[ワールドトレーディング]

今年開業50年を迎える、船場センタービル。そんな船場センタービルの歴史をひも解くべく、この地で長らく商売をする商店をピックアップ。今回でラストとなる第5回は、イタリアやスペイン、ドイツなどの伝統工芸品を扱う[ワールドトレーディング]さんにお邪魔して、お話を伺ってまいりました。

貿易の会社に就職する予定はなかったんです。

貿易の会社に就職する予定はなかったんです。

ーー今日は、よろしくお願いします。何度かお邪魔させていただいてますが、海外の伝統工芸品が、すごい量ありますよね。

ありがとうございます。うちは、ドイツ・イタリア・スペインといったヨーロッパの伝統工芸品を扱う貿易輸入の卸売をやっているんですよ。最近は街で見かける機会も少ないかと思いますが、ステンドグラスだったり、マイセンの陶器なんかを中心に販売していて。

ーー実家にこういった工芸品はあるんですが……。ちなみに社長はどうして、現在のお仕事を選ばれたんですか?

大学生の時に就職活動をするじゃないですか。当時の僕は広告関係の職種ばかりを受けていたんですよ。で、いずれの会社にもご縁をいただけなくて。たまたま学内で見かけた求人に南海観光というのを見つけて。その求人の中に「グアムに支店あります!」と書いてあったんですよね。望んでいる業界ではないけど、ちょっと興味が湧きましてね。

ーーなるほど。

で、実際に採用面接へ行ったんですよ。そうしたら名前は南海観光だったのですが、南海グリルというステーキハウスをやっている会社だったんですよ。よく調べずに行った私も私なんですがね……。飲食業には興味がないんだよなと思っていると、貿易部の方がたまたま入ってこられて。「うち実は、貿易もやってるんだよね。よかったらうちの部署に来てみないか?」と、誘っていただいて。

ーーで、貿易の道に進まれた……と。

とはいえまさか採用されるとは思っていなかったんですよ。で、家でゴロゴロしていると電話が鳴って。「ご両親さえよければウチで働いて欲しい」と、正式に採用の連絡をいただけて。翌週くらいから、船場センタービルの店舗に通い始めて。かれこれ、40年近いですよ。のちに南海観光は南海グリルと僕がいるワールドトレーディングに分裂するんですがね。

ステンドグラスブームの火付け役に。

ステンドグラスブームの火付け役に。

ーー当時から、扱うラインナップは変わらずでしょうか?

ほとんど変わっていませんね。強いて言うなら中国からの輸入も増えたぐらいで。ウチの一押し商品は、ステンドグラスなんですが当時はかなり珍しいものだったんですよね。それこそ百貨店の催事なんかでは売られているけれど、一般人たちにはあまり馴染みがなくって。言うなれば、ウチが最初にステンドグラスのランプなんかを大衆化したといっても過言ではなくて。

ーーステンドグラスの魅力を聞かせていただけますか?

やはり、ガラス越しの光でしょうね。とても温かみがあって、見ていると落ち着ける明かりなんですよ。ステンドグラスの発祥はドイツなんですが、そこでしか作れない深みもあるんです。その深みというのが、土着的な文化だったり微かに感じる匂いや色使いで。

ーー確かに。その土地でしか消費されなかった染料や、技術が結集している品ですもんね。

まさに、その通り。おばあちゃんが作った郷土料理とかとも近いものなんですよね。だから、少しづつ味が違うし扱っていて飽きないんですよね。

当時はこういった伝統工芸品がブームだったこと、そして今より景気がだいぶよかったこともあって、飲食店だったり、会社に対して卸売することが多くて。

ーー客層は、変わらずでしょうか?

その点はだいぶ変わりましたね。当時はこういった伝統工芸品がブームだったこと、そして今より景気がだいぶよかったこともあって、飲食店だったり、会社に対して卸売することが多くて。小売と違って規模が大きいですから、大手のチェーンに仕入れてもらうと、それこそ何百、何千という単位で買ってもらえるワケですよ。

ーーなるほど。

今と比べると、当時は消防法とかも厳しくなくて、こういう建物内でも通路制限とかがあまりなかったんですよね。だから、お客さんが店の前にたくさん群がって。それこそ、活気がすごくありましたね。それからオイルショックやら、ブームの終焉もあって、卸売のお客さんは減っていく一方ですよ。

ーー現在は、小売りのお客さんが多い……と。

そうですね。今は、一般のお客さんがメインですね。たまたまお店にこられたお客さんが気に入った商品を数点買っていく。といった感じですね。直接商品を見る、そして手にとって購入することが大切

長年卸売をしている目利きが仕入れてくる商品がたくさんあるわけですからね。

ーー船場センタービル暦40年。かなり長い期間このビルを見てきた上で、このビルの魅力はどこにあると思いますか?

やっぱり、いいものが多いですよ。このビルは。長年卸売をしている目利きが仕入れてくる商品がたくさんあるわけですからね。あとは、なんでも揃う。それこそ、衣類からこういった民芸品や家具。食事もできますからね。あとは、実際に商品を見て、コミュニケーションをしながらショッピングを楽しめることですかね。専門家が多いビルなので、勉強にもなるし、遊びに来るだけでも満足できる場所だとも思います。

ーー最後に、さらにビルをよくするために必要だとおもうことがあれば、ご意見いただければと……。

やっぱり若い人にビルに興味を持ってもらう施策は大事ですよね。こういうメディアはもちろんだけど、日曜日に開館してみるとか、若い子に安く物件を貸してみるとか。このビルでしか見られないイイものはあるんですよ。だから、足を運んでもらって魅力を伝えないとね。

ーーなるほど。今日はありがとうございました!

このビルでしか見られないイイものはあるんですよ。だから、足を運んでもらって魅力を伝えないとね。

いかがでしたか?今回は、魅力的な伝統工芸品を扱う[ワールドトレーディング]さんにお話を聞きました。流行を生み、ブームが陰った今でも情熱を持って商品を売り続けている社長の背中はかっこよかったです。[ワールドトレーディング]のある、大阪舶来マートエリアは卸売がメインですが、コチラのお店は小売もイケるスタイルです。船場センタービルに訪れたなら、足を運んでみる価値のあるお店ですゾ。

取材・文・写真:ロマン

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