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僕らが、偏愛する名店をご紹介。 船場センタービルと、僕。 vol.2 ~ ディープな船場をディグろう編集部・編集長 篇 ~

2020.01.15

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本格派のうどん屋[重巳]さん

大阪の至宝と呼ばれるバンド・赤犬のタカタカアキ氏に思い出の店を紹介していただいた第一回に続き、第二回は本メディアの編集長自らが登場!数ヶ月に渡り、船場センタービルに通った編集長が訪れるたび、ついつい足を運んでしまう本格派のうどん屋[重巳]を偏愛する名店としてご紹介。数多の飲食店の中でもニューカマー、他店の看板に隠れ発見しづらい立地……。そんな、隠れた店にどうして惹かれたのか。余すことなくお伝えいたします!

ニューカマーのうどん屋は、讃岐仕込みの本格派。

トッピングのネギ、生姜を豆皿に盛り付ける店主。

トッピングのネギ、生姜を豆皿に盛り付ける店主。

2018年の10月にオープンを迎えたうどん処[重巳]。飲食街が軒を連ねる4号館の一番隅に居を構える本格派だ。出会いは遡ること数ヶ月前、まだ飲食店が閉まっている午前10時頃に4号館へ訪れると、出汁の香りが鼻を通り抜けた。「うまそうな匂いだ……」と、匂いの発端へと足を進めると半分開いたシャッターの中で、タオルを巻いた店主が仕込みに勤しんでいた。「ええ出汁がある店は、うまい店に違いない」そうして、オープンの時間に照準を合わせて店へ飛び込んだ。店内はカウンターとテーブル。メニューを眺めると讃岐仕込みらしきうどんといくつかのトッピング、ランチセットなどがある。

グラグラと沸く茹で場は、小麦のいい香りが立ち込める。

グラグラと沸く茹で場は、小麦のいい香りが立ち込める。

開店時に飛び込んだにもかかわらず店には常連らしき人達が続々と来店し、思い思いの席に座り思い思いの注文をする。あとで聞くと、常連さんの中には「この席にしか座らない」といったルールのある方もいるそうだ。そんな情景を眺めていたせいか少し出遅れて、ひやかけのセットを注文。少しすると、黄金色の出汁に美しい麺線のうどんが浸されたひやかけ。青のりを忍ばせた鯛ちくわの天ぷら、ほかほかのご飯にたまごが目の前にサーブされる。

風味豊かでサクサクの天かすのアクセントは青のり。

風味豊かでサクサクの天かすのアクセントは青のり。

それと同時に「卵かけ御飯には、色の薄い醤油をお使いください!卓上の天かすを入れて食べるのもオススメですので是非」と、丁寧な説明に加え明るい笑顔の店主。「これはいい店で間違いない」と、相成ったワケだ。お味のほどは後述でのお楽しみにしていただくとして……。それからと言うもの船場センタービルへ訪れるたびに足を運んでしまうほどにハマってしまったのだ。

4号館地下1F。駐車場の近くにあるうどん処[重巳]の暖簾が目印。

4号館地下1F。駐車場の近くにあるうどん処[重巳]の暖簾が目印。

頻繁に通い出すようになったこともあってか、店主と会話する機会も増える。聞けば「もとはアパレル出身で、飲食店をやるとは思っていなかったんです。でも、漠然と自分で店を持ちたいなぁっていうのがあって。アパレルで独立は難しい、では飲食ならどうだろう。そう思って、勤めていたアパレルショップを辞めて、飲食の世界に飛び込んだんですよね」と、店主。居酒屋や酒屋など、飲食にまつわる職を転々とし、たどり着いた食べ物がうどんだったそうだ。

「和食や寿司……いわゆる王道の飲食業にも憧れたんです。でも、15歳で弟子入り。そこから修行を積んでようやく一人前な世界じゃないですか。別の職種から転職した僕が一人前になるには、時間がかかりすぎる。では、何がいいんだろうと考えたときに、自らが食べるのも好きだったうどんにたどり着いたんです」

茹で場では、コシの強い讃岐うどんがグラグラと湯がかれる。

茹で場では、コシの強い讃岐うどんがグラグラと湯がかれる。

「うどんと決めてすぐに、香川へ移住を決めました。まずは、本場の味を知るためにゲストハウスを拠点にして10日以上食べ歩きながら修業先を探したんです。行ってみて驚いたのは、圧倒的に家族経営の店が多かったこと。それゆえに、僕らみたいな外様が修行できる場所が少なくて」そんな状況の中しっかりと技術が学べる店に出会い、およそ3年間の修行を積み帰阪した。

「茹で場は、一番落ち着くんですよね。無になれるので」

「茹で場は、一番落ち着くんですよね。無になれるので」

修行を終えて、ようやく物件探しがスタート。オフィス街で店をやるべく本町エリアを中心に内覧をしていく中で、船場センタービルに出会ったそうだ。「実は、ここでお店をやるまでは、船場センタービルのことをよく知らなかったんです。日曜日が休館日というデメリットもあったんですが、いろんな会社やお店が入っている場所で社食的に使ってもらえそうだし、地下鉄からも直結。賃料も含めてかなり、条件が良かったんです。」そうして、この地に居を構えることとなったうどん処[重巳]。アパレル時代に培った接客力と本場仕込みの味が評判を呼び、瞬く間に人気店へと昇華した。

繰り出すうどんは、温冷自在の美しき一杯。

ランチ時に一番出るセットは、ひやかけうどんと鯛ちくわの天ぷら、卵かけご飯がついて850円。

ランチ時に一番出るセットは、ひやかけうどんと鯛ちくわの天ぷら、卵かけご飯がついて850円。

麺を啜ると、小麦の甘みグッと感じ追いかけるように出汁の鰹の風味が押し寄せる。出汁の塩味も控えめゆえ、ついつい完飲してしまう。付属の鯛ちくわ天ぷらは、そのまま食べるも良し、出汁に浸すも良しな一品だ。

玉子は運が良ければ、双子の場合も!

玉子は運が良ければ、双子の場合も!

卵かけご飯は、卓上にある専用醤油を回しかけたのち、無料でトッピング可能な天かすもオンするのがオススメ。青のりを潜ませた天かすゆえ、磯の風味がコクを増幅させる。サラッと掻き込みたい派なら、ひやかけの出汁をかけて、お茶漬け風にいただくのもアリだ。

大判の油揚げがのったきつねうどんは740円。

大判の油揚げがのったきつねうどんは740円。

温かい出汁を啜りたい派にオススメしたいのがきつねうどん。讃岐うどん特有のコシは残したまま、うどん特有の粘りも味わえる麺。出汁には、炊かれた油揚げの甘みが滲み出て旨味も増幅した一杯だ。

女子人気ナンバーワンのかまたまうどんは740円。

女子人気ナンバーワンのかまたまうどんは740円。

全卵に温かい麺を加え、醤油をかけていただく「かまたま」は、ブラックペッパーと天かすをトッピングしていただくスタイル。胡椒の刺激と、天かすの油分が加わることで和製カルボナーラのような味わいに。ネギや生姜を加えると清涼感もプラスできる。

退店時には、店主が笑顔で見送ってくれる。

退店時には、店主が笑顔で見送ってくれる。

いかがでしたか?滋味深い出汁の香りに惹かれ、船場センタービルに訪れるたびに通ってしまううどん処[重巳]。店主は社会人デビューはアパレルの販売員。数多の飲食業を渡り歩いてたどり着いた”うどん”を極めるべく、一年発起し単身香川へ移住。ひょんなことから内覧した船場センタービルでオープンしたニューカマーは紛うことなき名店でした。界隈で務める背広族はもちろんだが、わざわざ足を運んででも[重巳]のうどんを味わってみてほしい。

取材・文・写真:ロマン/近澤惇

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